
しかしその影で毎年多くの選手が地獄に叩き落されている。
それが「プロ野球戦力外通告」
女性プロ野球選手として注目を集め、一軍でも活躍していた投手がプロ10年目で戦力外通告。
私はまだやれる、そう誓って彼女は最後の戦いに挑むのであった。
彼女の名は橘みずき、今シーズンまで東北楽天ゴールデンイーグルスに所属する選手だった。
しかしドラフト会議終了後、来季の契約を結ばない、いわゆる戦力外通告を受けたのだった
―――戦力外を言い渡された時はやはり悔しかったですか?
「ええ、確かに悔しかったです。まさか今年クビだなんて思っていなかったので、この球団はバカなの?って思いましたね」
橘は言いすぎかしら、と笑いながら語った。
2007年のドラフトで楽天から1位指名を受け入団、当初から将来の主力として期待されてきた。
1年目から一軍登板機会を掴み、初勝利を挙げた3年目の2020年に32試合に登板し5勝4ホールド、防御率3.36の成績を残し、チームに貢献した。
その後リリーフに転向、5年目には56試合に登板し35ホールド、防御率2.84を記録、名実共にチームの主力となっていた。
しかし翌年肘を手術すると、その後も度重なる怪我に苦しみ登板数は減少、プロ10年目の今年は僅か4試合の登板に終わり、球団は橘に戦力外通告を言い渡したのだった。
「正直ここ1、2年結果を出していないのは事実。けどこれまで頑張ってきたと思っているしまさかこんな・・・」
そう言うと橘は後ろを向きそっとハンカチを目に押し当てた。
この日橘は、母校・聖タチバナ学園で自主トレを行っていた。
「楽天の球団施設は使えないとか言いやがったので、とりあえず今はここでトレーニングをしています。」
この日の練習にはアメリカから帰ったばかりの六道聖選手も参加、ストレッチや筋力トレーニング、投球練習を終えて自宅へと帰った。
今年28歳になる橘はまだ独身だ。過去にパワプロ選手と何度かうわさがたったが、今はまったくのフリーだという。
―――やっぱり結婚はしたいものなんですよね?
「あ?」
そう言うと近くにあったバットでスタッフを軽く殴りつけたのだった
このあと、橘の野球人生を懸けた戦いが始まる。
やみ糞
ここでは、選手たちの己の運命を懸けた真剣勝負が行われる。
橘の出番が来た。コールされマウンドに上がるとスタンドからも歓声と野次が上がった。
1人目の北川(元楽天)を変化球で軽く三振に仕留めたが、続く2人目の山崎(元DeNA)に直球をレフト前に運ばれてしまう。
しかしその後は3人目の多田(元広島)、4人目の菅原を変化球で空振り三振に切ってのけたのだった。
この日の成績は打者4人に対し被安打1、奪三振3。アピールには十分と言っていいほどだった。
「お疲れさまです。とりあえずやれるだけのことはやれましたし、自分でも最高の投球ができたと思います。まあ山崎さんには打たれましたが。」
「これが今の実力ですから、あとは結果を待つだけです。」
そう笑顔で語っていたときだった。突如携帯が鳴った。
「誰からだろう・・・ちょっとごめんなさい」
そう言うと電話に出た橘。数分後半分怒ったような顔で戻ってきた。
「日本ハムの矢部が食事に行かないか、ですって。しばいてやろうかしら。」
3日がたち、橘のもとにはまだ連絡が来ていなかった。
スポーツ紙にはトライアウトに参加していた選手達の去就が続々と出てきていた。
他球団との契約を結んだ者から引退を決断した者まで様々だ。
「あれでダメならどうしようもないですよね」
橘はあきらめ半分の口調でつぶやいた。
その時だった。
PLLLLLL・・・
ピッ
「はい、もしもし。あっ!はい…そうです。分かりました。…はい、ありがとうございます!失礼します。」
ピッ
―――どちらからですか?
「えっと、中日の立浪さんからで、中日が契約したいらしいと」
電話の相手は中日ドラゴンズだった。支配下選手として契約したいとの事だった。
「連絡があって本当に嬉しいです。勿論ドラゴンズでお世話になろうと思っています。」
会見で橘は「これからは、絶対チームの勝利に貢献できるように頑張りたいです。」とコメントした。
戦力外通告、それは、すべてのプロ野球選手にとってまさしく恐怖そのものである。
しかしそこには、いままで味わったことの無い絶望があっても決して諦めず、前を向いて走り続ける選手たちのドラマがあった。
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コメント
推定年俸1,500万(立浪ドル)
日本円にして15円
※1
よし5億年20円より好条件だな
背番号69(意味深)
素晴らしい契約
本当に戦力として考えてるなら一軍最低保障年俸の1500万は妥当なんだよなあ
あと聖はなぜアメリカに行ってるのか?
タッツと普通に話せる女
背番号69w
矢部カスも戦力外やろ
パワプロと聖ちゃんはアメリカに行っている…あっ(察し)
あっ…(冊子)